ブログに戻る
Tips & Tricks2 閲覧1 min

脳の可塑性:英語学習があなたを変える仕組み

9English Team2025年12月1日
脳の可塑性:英語学習があなたを変える仕組み

「英語を話せるようになりたい!」そう思って、毎日単語を覚えたり、文法書を読んだり、でもなかなか上達しない…なんて悩んでいませんか? 実は、あなたの脳はあなたが思っている以上に柔軟で、新しい言語を習得する力を持っているんです。今回は、この「脳の可塑性」という驚くべき能力が、どうやってあなたの英語学習を加速させるのか、そしてそれを最大限に活かすための具体的な方法を、私の経験や科学的な知見を交えながらお話しします。

脳の可塑性とは? 言語学習の鍵

まず、「脳の可塑性(Neuroplasticity)」って一体何?って思いますよね。簡単に言うと、これは脳が経験や学習によって構造や機能を変化させる能力のこと。つまり、新しいことを学んだり、新しいスキルを身につけたりするたびに、脳の神経回路は再編成されるんです。まるで、新しい道を切り開いたり、既存の道をより太くしていくようなイメージです。言語学習、特に英語のような新しい言語を習得するプロセスは、この脳の可塑性の典型的な例と言えるでしょう。

例えば、あなたが初めて「apple」という単語を聞いたとき、脳はそれを処理するために新しい神経経路を形成します。何度も「apple」を聞き、見、そして自分で発音するたびに、その神経経路は強化されていきます。これは、Cambridge DictionaryやOxford Learner's Dictionariesのような権威あるリソースが強調する「反復と実践の重要性」とも深く関連しています。単に情報を暗記するのではなく、実際に使うことで、脳は「これは重要な情報だ!」と認識し、記憶を定着させるのです。CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で言えば、A1レベルからB2、C1へと進むにつれて、より複雑な神経ネットワークが構築されていくイメージですね。

神経回路が「太く、速く」なる仕組み

具体的にどうやって脳は変化するのでしょうか? 科学者たちは、シナプスの結合が強まったり、新しいシナプスが形成されたりすることを突き止めています。これは、学習した内容をより効率的に、より速く処理できるようになることを意味します。昔は「一度定着した脳の回路は変わらない」なんて言われていた時代もありましたが、それは大きな間違いだったんです!

例えば、私が教えていた生徒さんの中に、英語の発音がずっと苦手だと言っていた方がいました。特に「th」の音が出せずに、"think" が "sink" に聞こえてしまう。そこで、発音練習に特化したアクティビティを導入しました。鏡の前で舌の位置を確認しながら、口の形を意識して、毎日5分だけ練習してもらったんです。最初は「こんなんで変わるのかな?」と半信半疑だったようですが、3ヶ月後には「th」の音が劇的に改善! 本人も「なんか、口が勝手に動くようになった!」と驚いていました。これはまさに、発音に関わる脳の神経回路が、意図的な練習によって再構築された証拠です。

「聞く」「話す」「読む」「書く」の学習法と脳の可塑性

英語学習の4技能、「聞く」「話す」「読む」「書く」それぞれにおいて、脳の可塑性はどのように働いているのでしょうか? そして、どうすればそれを最大限に活用できるのか、具体的な方法を見ていきましょう。

リスニング:音の「パターン」を脳に刻む

英語のリスニング力を向上させるには、ただ闇雲に聞くだけでは効果が薄いことも。脳は、繰り返し触れる音のパターンを認識し、それを「意味」と結びつけることで、聞き取り能力を高めていきます。例えば、ネイティブスピーカーが話す英語のイントネーションやリズム、リエゾン(音の連結)といった特徴的な音のつながりを、何度も聞くことで脳が自動的に処理できるようになります。

私の経験上、効果的なのは「ディクテーション(書き取り)」と「シャドーイング」です。ディクテーションは、聞いた英語をそのまま書き取る練習。最初は単語一つ聞き取れなくても、繰り返すうちに「あ、この音はこういう単語だったのか!」と気づきがあります。シャドーイングは、聞こえてくる英語のすぐ後を影のように追いかけて発音する練習。これは、音のパターンを声に出して真似ることで、脳に音の情報をより深く刻み込むのに役立ちます。IELTSやTOEICで高得点を目指す学習者も、この2つの練習を習慣化することで、リスニングスコアが劇的に伸びるケースを多く見てきました。最初はネイティブのスピードについていけなくても、諦めずに続けることが大切。脳は、あなたが「これは聞き取るべき音だ」と認識するまで、必死にパターンを探し続けるんですから。

実践エクササイズ:

  • お気に入りのポッドキャストやYouTube動画を使い、1分間の音声を聞いて、聞き取れた単語を全て書き出してみましょう。最初は完璧でなくてOK。
  • 次に、その同じ音声を聞きながら、聞こえてくる音をそっくりそのまま真似して発音するシャドーイングを試してみましょう。

スピーキング:アウトプットで脳を「活性化」させる

「話す」練習は、脳の可塑性を最もダイナミックに活用できる分野の一つです。頭の中で単語や文法を知っていても、それをスムーズに口から出すには、脳の運動野や言語野が連携して働く必要があります。つまり、実際に声に出すことで、これらの神経回路が強化されるのです。

ここで大事なのは、「完璧を目指さない」こと。間違いを恐れて黙っていては、脳はいつまでも新しい回路を作ろうとしません。むしろ、間違いを経験し、そこから学ぶプロセスこそが、脳の可塑性を促すんです。私が以前担当したオンライン英会話の生徒さんで、最初は「I go to school yesterday.」のように時制がめちゃくちゃだった方がいました。でも、先生に指摘されたり、自分で間違いに気づいたりするたびに、少しずつ修正。「Oh,  it should be 'went',  right?」と、自分で間違いを認識し、正しい形をインプットする。この「間違い→修正→定着」のサイクルが、脳の神経回路をどんどん正確で強力なものにしていくんです。Cambridge Englishのサイトでも、スピーキング練習は「fluency(流暢さ)」と「accuracy(正確さ)」の両方を高めるために不可欠だと強調されています。

実践エクササイズ:

  • 今日あった出来事を、簡単な英語で声に出して説明してみましょう。最初は3文でもOK。
  • オンライン英会話や言語交換パートナーを見つけて、週に1回でも良いので、とにかく話す機会を作りましょう。間違いは気にしない!

リーディング:意味の「ネットワーク」を広げる

読書は、語彙力や文法理解を深めるだけでなく、脳の「意味ネットワーク」を拡張するのに役立ちます。新しい単語や表現に出会うたびに、脳はそれを既存の知識と結びつけようとします。このプロセスが、理解力や読解スピードの向上につながるのです。

例えば、あなたが「ambitious」という単語を初めて読んだとします。文脈から「野心的な」という意味だと推測できても、すぐに記憶に定着するとは限りません。しかし、その単語が別の文章で、あるいは別の文脈で再び登場したり、「ambition」という名詞形に出会ったりすることで、脳はその単語の持つ意味合いやニュアンスをより深く理解し、関連付けて記憶していきます。これは、British Councilのような教育機関が推奨する、多様な素材に触れることの重要性とも一致します。ニュース記事、小説、ブログ記事など、様々なジャンルの英文を読むことで、脳は単語や表現の「使い分け」を学び、より豊かな言語知識を構築していきます。

実践エクササイズ:

  • 興味のある分野の英語のウェブサイトやニュース記事を毎日5分読む習慣をつけましょう。
  • 知らない単語に出会ったら、すぐに辞書を引くのではなく、まずは文脈から意味を推測してみてください。その後、辞書で確認しましょう。

ライティング:思考を「形」にする訓練

書くことは、自分の思考を整理し、それを言語化するプロセスです。このプロセスは、脳の様々な領域を活性化させ、言語能力全体を向上させます。特に、文法的な正確さや論理的な構成を意識して書くことは、脳の「構造化」能力を高めます。

私が指導したTOEFL受験者で、エッセイのスコアが伸び悩んでいた方がいました。原因は、アイデアが頭の中でバラバラで、それをうまく文章にまとめられていないこと。そこで、まずはエッセイの構成(導入、本論、結論)を意識すること、そして各段落で伝えたい「中心的なアイデア」を明確にすることから始めました。さらに、書いた文章を音読してもらうことで、不自然な表現や論理の飛躍に自分で気づいてもらうように促しました。この「書く→見直す→修正する」というサイクルを繰り返すうちに、彼のライティングは劇的に改善。これは、脳が情報を整理し、論理的に組み立てる能力を、ライティングという行為を通じて鍛えている証拠と言えるでしょう。

実践エクササイズ:

  • 毎日、短い日記を英語で書いてみましょう。その日の出来事、感じたこと、考えたことなどを自由に。
  • SNSで英語の投稿をしてみたり、オンラインフォーラムでコメントを書いてみたりするのも良い練習になります。

脳の可塑性を最大限に引き出すための「秘訣」

ここまで、脳の可塑性と英語学習の関連性、そして各技能における具体的な学習法を見てきました。でも、どうすればもっと効率的に、そして楽しく、この脳の力を引き出せるのでしょうか? いくつか、私の経験から得た「秘訣」をお伝えします。

① 継続は力なり:小さな習慣の積み重ね

脳の可塑性は、一度や二度の学習で劇的に変化するものではありません。やはり、日々の地道な積み重ねが重要です。例えば、1日30分集中して勉強するよりも、毎日10分でも英語に触れる習慣を作る方が、脳にとっては「継続的な刺激」となり、神経回路の強化につながります。これは、単語学習や文法練習でも同じ。毎日少しずつでも続けることが、長期的な記憶定着とスキル向上に不可欠です。

私の生徒さんで、TOEICで900点を超えた方がいますが、その方は「毎日通勤電車の中で単語アプリを10分だけやる」というのを1年間続けたそうです。特別なことをしたわけではないけれど、その「継続」が、結果的に大きな成果につながったんですね。脳は、あなたが「これは習慣だ」と認識するまで、地道に回路を強化し続けてくれるんです。

②  「楽しい!」と感じる工夫を

脳は、感情と強く結びついています。楽しい、面白い、興味深いと感じる活動は、より記憶に残りやすく、学習意欲も高まります。英語学習も、義務感だけでやっていると長続きしません。自分が好きな映画を英語音声・英語字幕で観る、好きな音楽の歌詞を調べてみる、興味のある分野の英語ブログを読むなど、「好き」を原動力にすることが、脳の可塑性をポジティブに刺激します。

例えば、ある生徒さんは、もともとアニメが好きで、日本語のアニメを英語吹き替えで観ることから始めたそうです。最初はリスニングの練習でしたが、次第にキャラクターのセリフを真似するようになり、スピーキング力も向上。そして、「もっとこのアニメの世界を知りたい!」という思いから、関連する英語のインタビュー記事などを読むようになり、語彙力も飛躍的に伸びました。このように、自分の「好き」と英語学習を結びつけることは、脳にとって非常に効果的な学習方法なんです。

③ 間違いを恐れない:成長のチャンスと捉える

先ほども触れましたが、間違いは学習プロセスにおける宝です。脳は、間違いを修正する過程で、より正確で強固な神経回路を形成します。もしあなたが「間違えたら恥ずかしい」と思って発言をためらっているなら、それは成長の機会を逃していることになります。Don't be afraid to make  mistakes!  むしろ、「よし、この間違いから学んでやる!」という前向きな姿勢が、脳の学習能力を最大限に引き出します。

これは、私自身の経験でもあります。学生時代、初めて海外で一人暮らしをしたとき、簡単な買い物さえままならないほど英語ができませんでした。何度も店員さんの言うことが分からず、困った顔をしたり、間違った単語を言ってしまったり…。でも、その度に「次はこう言ってみよう」と、必死でコミュニケーションを取ろうとしました。その「失敗から学ぶ」という経験が、今の私の英語力につながっていると確信しています。

④  新しい刺激を求める:脳を「アクティブ」に保つ

脳の可塑性は、新しい挑戦や経験によって最も活性化されます。英語学習においても、常に新しいことに挑戦する姿勢が大切です。例えば、いつも同じ教材ばかり使っているなら、たまには新しいタイプの教材を試してみる。いつも同じ学習方法なら、新しい学習アプリを使ってみる。あるいは、オンラインで外国人の友達を作って、普段話さないようなトピックについて話してみるのも良いでしょう。

研究によると、新しいスキルを習得する際、脳の様々な領域が活性化されることが分かっています。これは、言語学習においても同様です。例えば、Cambridge Assessment Englishは、学習者が多様な学習リソース(オンラインゲーム、インタラクティブな演習、ネイティブスピーカーとの交流など)を活用することを推奨しています。これらの新しい刺激が、脳に「これは新しい情報だ!処理しなければ!」という信号を送り、神経回路の再構築を促すのです。

実践ワーク:

       
  • 今週、普段使わない英語学習アプリを一つ試してみましょう。
  • オンラインで、興味のある分野について英語でディスカッションしているフォーラムを探して、簡単なコメントを投稿してみましょう。

脳の可塑性は、まさに「使えば使うほど、賢くなる」という魔法のような能力です。英語学習は、この脳の力を最大限に引き出す絶好の機会。今回ご紹介した方法を参考に、ぜひあなたの英語学習に活かしてみてください。きっと、あなたが思っている以上に、あなたの脳は変化し、成長していくはずです。さあ、今日から早速、あなたの脳を「英語脳」に育てていきましょう!

関連記事

インターリービング学習法:記憶を定着させる「混ぜ学習」の秘訣
Tips & Tricks2

インターリービング学習法:記憶を定着させる「混ぜ学習」の秘訣

英語学習の効率を劇的に上げる「インターリービング学習法」を徹底解説。単語、文法、リスニングなどを交互に学習する秘訣、具体的な実践例、成功させるためのヒントを、経験に基づき分かりやすく紹介します。記憶定着率向上、問題解決能力アップに繋がる学習法を今日から実践!

Invalid Date
マイクロラーニングで英語力アップ!5分でできる効果的な学習法
Tips & Tricks2

マイクロラーニングで英語力アップ!5分でできる効果的な学習法

英語学習に時間がない?マイクロラーニングなら5分でOK!忙しいあなたでもできる、単語、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの具体的な学習法と成功の秘訣を伝授。スキマ時間を活用して、着実に英語力を伸ばしましょう。

Invalid Date
学習スタイル発見!あなたに最適な英語学習法を見つけよう
Tips & Tricks2

学習スタイル発見!あなたに最適な英語学習法を見つけよう

英語学習が続かない?学習スタイルを知れば、あなたに最適な学習法が見つかります!視覚、聴覚、体感覚タイプ別に、効果的な学習法と具体的なプランを解説。今日から実践できる、あなただけの英語学習戦略を見つけましょう。

Invalid Date