IELTSライティングタスク1:地図問題の完全ガイド

IELTSライティングタスク1で地図問題が出題されると、一体どう書けばいいのか戸惑う方も多いのではないでしょうか?「変化がない」「建物が増えた」など、地図の描写は一見シンプルに見えますが、的確に情報を整理し、論理的に説明するにはコツが必要です。この記事では、長年のIELTS指導経験と多くの受講生の声をもとに、地図問題の解き方を徹底解説します!具体的な例文や練習問題も豊富に盛り込んでいるので、この記事を読めば、地図問題への苦手意識を克服し、高得点を目指せるはずですよ。
IELTSライティングタスク1 地図問題とは?
IELTSライティングタスク1の「地図問題」は、過去のある時点から現在、あるいは未来にかけて、ある地域や場所がどのように変化したかを示す2枚(または3枚)の地図を比較・説明する問題です。多くの場合、都市のインフラ、建物、公園、交通網などの変化に焦点が当てられます。
例えば、1990年の小さな村の地図と、2020年のその村が発展した都市の地図を比較する、といった形式です。この問題で求められるのは、単なる描写力だけではありません。変化の全体像を捉え、主要な変更点を特定し、それらを論理的かつ明確に、語彙豊かに説明する能力が試されます。
IELTSの公式ガイドライン(Cambridge Assessment English)によると、タスク1では「情報を正確に要約し、主要な特徴を特定し、比較・対比する能力」が評価されます。地図問題では、この「主要な特徴の特定」と「比較・対比」が特に重要になります。
地図問題で評価されるポイント
地図問題では、以下の点が主に評価されます。
- Task Achievement (課題達成度): 与えられた地図の情報を正確に描写し、主要な変化をすべて含んでいるか。
- Coherence and Cohesion (一貫性と結束性): 情報が論理的に整理され、段落分けや接続詞が効果的に使われているか。
- Lexical Resource (語彙力): 変化を表す適切な語彙(例: built, replaced, demolished, expanded, developed)を豊富に使えるか。
- Grammatical Range and Accuracy (文法知識と正確さ): 様々な文法構造を正確に使えるか。
特に、変化を表す動詞や、場所を示す前置詞、比較表現などを使い分けることが、高得点への鍵となります。
地図問題の解き方:ステップ・バイ・ステップ
地図問題に効果的に取り組むための、具体的なステップを見ていきましょう。これは私が長年指導してきた中で、最も効果的だと実感している方法です。
ステップ1:地図全体を把握する(5分)
まず、提示されたすべての地図(過去、現在、未来など)をじっくりと眺め、全体像を掴みます。この段階で、以下の点に注意して観察してください。
- 時期の確認: 各地図がいつの時点のものか(例: 1980, 2000, Present, Future)。
- 場所の特定: 地図の中心となる場所(例: town centre, village, industrial area)や、主要なランドマーク(例: river, mountain, main road)を確認します。
- 全体的な変化の傾向: 都市が大きくなっているか、小さくなっているか。自然が多いか、建物が多いか。交通網は発達しているか、など、大まかな変化の方向性を掴みます。
たとえば、ある地図で「村が都市に発展している」という大きな変化が見られる場合、それは導入部で触れるべき最も重要なポイントになります。
ステップ2:主要な変化を特定する(5分)
次に、地図間で最も顕著な変化をいくつかピックアップします。すべてを網羅しようとすると、情報が散漫になりがちです。以下の点を意識して、最も重要だと思われる変化を3〜5つ程度選びましょう。
- 消滅・出現: なくなった建物や施設、新たに建設されたもの。
- 規模の変化: 拡大、縮小、増加、減少。
- 用途の変化: 住宅地が商業地になった、農地が工業団地になったなど。
- 配置の変化: 道路の拡張、公園の移設など。
【実例】
ある地図問題で、1950年の小さな港町が2000年には観光都市へと変化していました。私が注目したのは以下の点です。
- 港の規模が縮小し、代わりにマリーナが建設されたこと。
- かつての工場地帯が、ホテルやレストランのある商業エリアに転換したこと。
- 町の中心にあった古い住宅地が取り壊され、ショッピングセンターができたこと。
- 新しい道路が建設され、交通の便が向上したこと。
これら4つの変化が、この都市の発展を最もよく表していると考えました。
ステップ3:構成を考える(3分)
情報を整理し、論理的な構成を考えます。一般的には、以下の構成が効果的です。
- 導入 (Introduction): 2枚(または3枚)の地図が何を示しているか、いつの時点のものか、全体的な変化の傾向を簡潔に述べます。(1〜2文)
- 本文 (Body Paragraphs): 特定した主要な変化を、2〜3つの段落に分けて詳しく説明します。
- 段落1: 特定のエリア(例: 南部、中心部)や、特定の種類の変化(例: 商業施設の変化)について説明する。
- 段落2: 別のエリアや、別の種類の変化について説明する。
- (必要であれば)段落3: さらに詳細な変化や、全体像を補足する説明を加える。
【構成例】
導入: 「提示された2枚の地図は、1990年と2010年の〇〇という町の様子を示しており、この20年間で町が著しく発展し、都市化が進んだことがわかります。」
本文1 (変化の全体像と主要な開発): 「全体として、町は北東部へと拡大し、かつての農地や森林は住宅地や商業施設に取って代わられました。特に、町の中心部には新しいショッピングセンターが建設され、多くの古い家屋が取り壊されました。また、町の南側には新しい道路網が整備され、以前はなかった高速道路のインターチェンジも設置されました。」
本文2 (特定のエリアの変化): 「一方、町の西部には、かつて工場があった場所が、現在ではオフィスビル群と公園に姿を変えています。また、町の北端にあった小さな湖は、レクリエーション施設を備えた大きな公園の一部として再開発されました。しかし、町の南西部に位置する古い住宅地は、20年間でほとんど変化がありませんでした。」
このように、どこで、何が、どのように変化したかを明確に区別して説明することが大切です。私はよく「エリア別」または「変化の種類別」に段落を分けることを推奨しています。
ステップ4:実際に書く(20分)
構成案に基づき、実際に文章を書いていきます。この段階で最も重要なのは、変化を表す適切な語彙と文法を正確に使うことです。
変化を表す語彙集
地図問題で頻繁に使うことになる語彙をいくつかご紹介します。これらを使いこなせると、表現の幅が格段に広がります。
建物の出現・建設:
- be built / be constructed / be erected
- appear / emerge
- a new ... was built
建物の消滅・取り壊し:
- be demolished / be pulled down / be removed
- disappear / vanish
- no longer exist
規模の拡大・縮小:
- expand / enlarge / extend
- be expanded / be enlarged / be extended
- reduce in size / shrink
- be reduced in size / be shrunk
- increase / decrease
用途の変更:
- be converted into / be transformed into / be redeveloped as
- change from ... to ...
- become
場所の移動・再配置:
- be moved / be relocated
- shift
その他:
- remain unchanged
- remain the same
- still exist
【例文】
- "The old factory in the west of the town was demolished and replaced by a modern office complex." (町の西部にある古い工場は取り壊され、近代的なオフィスビル群に置き換えられました。)
- "The small village gradually expanded, with numerous houses being built on the outskirts." (小さな村は徐々に拡大し、郊外には数多くの家が建てられました。)
- "The farmland to the north of the river has been converted into a large industrial park." (川の北側にある農地は、大規模な工業団地に転換されました。)
- "While the town centre underwent significant development, the residential area in the south remained largely unchanged." (町の中心部は大幅な開発が行われた一方、南部の住宅地はほとんど変化しませんでした。)
これらの単語やフレーズを、状況に合わせて正確に使い分ける練習をしましょう。特に、受動態(be動詞 + 過去分詞)を効果的に使うことが、地図問題では不可欠です。
ステップ5:見直し(2分)
書き終えたら、必ず見直しを行います。以下の点を確認しましょう。
- 課題達成度: すべての主要な変化をカバーできているか?
- 正確さ: 地図の情報と合っているか?
- 語彙・文法: 誤字脱字はないか?不自然な表現はないか?
- 時間: 20分以内に書き終えられたか?
よくある間違いとその回避策
地図問題で多くの学習者が犯しやすい間違いと、その回避策をご紹介します。
間違い1:すべての変化を詳細に描写しようとする
原因: 時間内にすべてを説明しきれない、情報が散漫になる。
回避策: ステップ2で述べたように、最も重要で顕著な変化を3〜5つ程度に絞り込み、それらを重点的に描写する。全体的な傾向や、大きな変化を優先しましょう。
間違い2:単なる場所の羅列になってしまう
原因: 「~があった」「~ができた」という事実の列挙に終始し、変化のプロセスや全体像を説明できていない。
回避策: 「~から~に変わった」「~が取り壊されて~になった」のように、変化の前後関係を明確にする表現を使う。また、「全体的に~」「特に~」といった言葉で、説明に流れや構造を持たせる。
間違い3:変化を表す語彙が単調
原因: 「be built」「be changed」などの基本的な単語しか使えない。
回避策: ステップ4で紹介したような、より多様な語彙(demolish, convert, expand, emergeなど)を積極的に使い、表現の幅を広げる練習をする。
間違い4:比較・対照の表現が不十分
原因: 過去と現在の比較が曖昧。
回避策: 「while」「whereas」「in contrast」などの接続詞を効果的に使い、変化のあった部分と変わらなかった部分を対比させる。また、「previously」「now」といった副詞も活用する。
【ケーススタディ】
私の生徒さんの一人、佐藤さん(仮名)は、地図問題が苦手で、いつも時間内に書き終えられず、描写も単調になりがちでした。そこで、上記のステップと語彙集を使って、毎日1問ずつ練習するように指導しました。特に、変化を表す動詞の受動態(be replaced, be convertedなど)を意識して使う練習を徹底しました。3週間後、模擬試験での地図問題のスコアが5.5から7.0へと大幅に向上しました。佐藤さんは、「単語を覚えるだけでなく、どういう順番で、どういう言葉を使って説明すれば伝わるかが分かったのが大きかった」と話していました。
練習問題:実践してみよう!
それでは、実際に練習問題を解いてみましょう。以下の地図の変化を説明する文章を書いてみてください。
【問題】
提示された2枚の地図は、2005年と2015年のある町の中心部の様子を示しています。
- 2005年: 町の中心には大きな公園があり、その周りには住宅地といくつかの商店が点在しています。北側には古い図書館があります。
- 2015年: 公園は縮小され、その跡地に大型のショッピングモールが建設されました。商店はより近代的なビルに建て替えられ、数が増えています。古い図書館は取り壊され、その場所には美術館が建てられました。住宅地はほとんど変化がありません。
【書く際のポイント】
- 導入で、2枚の地図が何を示しているか、全体的な変化の傾向(都市化、商業化)を述べる。
- 本文で、公園の縮小とショッピングモールの建設、図書館の取り壊しと美術館の建設、商店の変化などを具体的に描写する。
- 「変化がなかった」部分(住宅地)にも触れる。
- 変化を表す多様な語彙(demolished, replaced, expanded, converted, remained unchangedなど)を使う。
さあ、時間を計って書いてみてください! 20分後、自分の書いた文章を、このブログで紹介した「よくある間違い」や「評価されるポイント」と照らし合わせてみましょう。どこを改善すればもっと良くなるか、きっと見えてくるはずです。
【模範解答例(一部抜粋)】
導入: The maps illustrate the changes in a town centre between 2005 and 2015. Over this decade, the area became significantly more commercialized, with the development of new facilities replacing older ones.
本文1: In 2005, the town centre was dominated by a large park. However, by 2015, this park had been considerably reduced in size and was replaced by a large shopping mall. The number of shops also increased, with many existing stores being rebuilt into more modern structures.
本文2: Furthermore, the old library situated in the northern part of the centre was demolished. In its place, an art gallery was constructed. While these significant developments occurred, the residential area located to the south of the centre remained largely unchanged during the ten-year period.
このように、変化した点と変化しなかった点を対比させながら、具体的な場所や建物を挙げて説明することが重要です。特に、受動態を効果的に使えているか、多様な語彙を使えているかを確認しましょう。
まとめ:地図問題攻略への道
IELTSライティングタスク1の地図問題は、準備と練習次第で必ず克服できます。今回ご紹介した
- 全体像の把握
- 主要な変化の特定
- 論理的な構成
- 変化を表す多様な語彙と文法
これらを意識して、日々の学習に取り組んでみてください。特に、変化を表す動詞や、場所を示す表現をリストアップし、実際に地図問題の文章で使ってみる練習は非常に効果的です。最初は難しく感じるかもしれませんが、多くの地図問題を解くうちに、自然とパターンが見えてきて、自信を持って書けるようになりますよ。頑張ってください!
